今月の音声心理士#4:須藤梨乃さん
聞き手・本文/北村昌陽(フリーランスライター)
2026.07.01
――声診断を知ったきっかけを、教えていただけますか?
須藤梨乃さん(以下、須藤)私の母が、音声心理士なんです。母が学んでいるのをみて、この世界を知りました。
――なるほど、お母さんがきっかけなんですね。
須藤母(須藤慶子)が音声心理学を学び始めたのは、2022年。
最初に、自分の心と向き合う講座のVRP(Voice Revolution Program)を受講して、そのあとすぐ、音声心理士になるための講座も受けていました。
VRPのときは、zoomに向かう声が本当に楽しそうで。ああ、楽しいんだな、いいなぁ、って印象だったんですが…。
――はい。
須藤そのあと、音声心理士の講座が始まると、セッションの練習をしたいって言い出して、私にモニター役の声がかかるようになったんです。
これが、嫌で嫌でたまらなかった。今でこそ笑い話ですけど(笑)
――あらら(笑)
須藤なんで、自分の嫌なところをわざわざ見つめないといけないの?まるで、あなたのここが悪いから直しましょう、って言われているみたいで、すごい嫌だったんです。でも、嫌だって言ってるのに、彼女は全然折れずにズンズンくる。
それで、最後はまあしゃーないか、って感じで。いつも、めっちゃ不機嫌な顔でセッション受けてましたね。
――へぇー、そうだったんですか。よくぞそこから、自分も学ぼうっていうところに、こられましたね。
須藤ほんと、そうですよね(笑)
まあ、それまでにも、帝王学とか、人としてこうあるべきみたいなことはいろいろと学んでいて、多分こうしたらいいんだろう、というのもだいたいわかってはいたんです。
だけどそれは表面的な知識で、中身は全然伴っていない、という葛藤がありました。
私は、立場上、父の会社を継ぐポジションなんです。両親が経営する土木会社で働いているんですが、継ぐ以前にそもそも、自分が何者で、何をしたいのか、というところが、まだ全然見えていない感じでした。
自分の人生、私は何をやりたいのか?
それを見つけたくて、私も、VRPを受けることにしました。
あと、母がVRPを、ものすごく楽しそうに喋りながら受講していましたから。私はどちらかというと、空気を読みすぎて口を閉じちゃうタイプなので、自分もあんなふうに楽しく喋れるようになりたい、というのもあったと思います。
将来、私が社長になるとしたら、立派なリーダーっていうより、コミュニケーションで円滑に回していきたい、そんなイメージがあるんです。だから自分も、コミュニケーションをもっと楽しめるようになりたい。そんな気持ちでした。
私がVRPを受け始めたのは、2023年の10月からです。
――受けてみて、いかがでした?
須藤講座自体は、休まずにきちんと出ていました。SNSにいろんな気づきを書き込む課題も、けっこう投稿していたと思います。そういうのは苦手じゃないので。
だけど、いま思うと、投稿を通じて人と関わる気は、全くなかったですね。だから、一応ちゃんと投稿するけど、返信が欲しいとは思ってなかったし。人の投稿にも、全然反応していなかったです。
――なるほど。
須藤要は、ここではこんなふうに書くのがふさわしい、って思ったことを書いていたんだと思います。人のせいにするのはダメだから、自責にしとけばいいんだよね、みたいな。
だから、それらしく書いてはいたけれど、自分としっかり向き合うという感じではなかった。
それでも、変わりたいという気持ちはずっとあったから、再受講を継続していました。それで、VRPだけじゃ足りないと思って、2024年からは音声心理士の講座も受け始めました。
だから、音声心理士になったのは、声診断のセッションをしたいとか、人を助けたいとか、そういう動機ではなくて。ひたすら自分のことをもっと知りたくて、こっちも受けた、という感じでした。
自分の中の「マイルール」が壊れた、という体験
母と。VRPのリトリートで訪れた宮古島。
2024年の夏前ぐらいだったと思いますが、大きな転期がやってきました。
ある取引先の方が会社に来て、私が応対していました。書類にハンコを押したり、とか、そういう段取りの手続きで。その時は、こちらが買い手=お金を出す側でした。向こうは売り手です。
それで、私はその作業を、カウンターで立ったままやっていたんですね。そうしたらその取引先の方が、「立ってないで座りませんか」って言ってきたんです。
はぁ?💢って思った。
いやいや、あなた売り手でしょ。私がお客さんでしょ。なんで私じゃなく、あなたに提案されなきゃいけないの?って思ったら、すっごい腹が立ってきたんですよ。
――ほほぅ。
須藤だけど、それを後で母に話したら、えーそれでムカつくの?それはあなたが決めたルールでしょ、って言われてしまって。
私の中のルール。お客さんの事務所に訪問してるんだから、お客さんの意向に従うべき、っていう決め事。営業側から座ろうと提案するだなんて、あり得ない。私にとってそれは当たり前の礼儀で、そういう決まりを守ることで、みんなが円滑に動けるし、みんなから喜ばれている、極端に言えば、それが世界のためだっていうぐらいに思って、守ってきた。
でも、いやそれはあなたのルールだ、私は別に気にならないよって母に言われて…。
私の中の“当たり前”が、拠り所を失って、ガラガラって崩れ落ちた、そんな感覚だったんですよ。
音声心理学的には、「ブルー」の色に当たる思考の働きですよね。マイルール、固定観念。かくあるべき、という思考。頭の中にルールがあるから、人や自分をジャッジする。ルールがあるから、守らない人に怒りがわく。
そういう話を、私は講座で何度も聞いて、SNSにもそれらしい投稿を書いて、わかったようなふうでいたのに。自分の中で実際に稼働していたルールには、全く気づいていなかった。
――あーなるほど。それまで講座で勉強して、ちゃんとやってきたつもりだったのに。
須藤そうなんです。ちゃんとやってきたつもりだったのに、全然、わかっていなかった。
結局、私は、「自分が正しい」っていうところから出るつもりがなかったんです。だから、由美子先生が講座で、手を替え品を替え、いろんな言葉で大事なことを伝えてくれたのに、全く耳に入っていなかった。
それがガラガラと崩れたことで、ようやく、自分の中で何かが動き始めたような感覚がありました。
もういいや、人に認めてもらうのは、やめにしよう
父と。会社の社員旅行にて。
実は、私は子供のころから、「かくあるべき」思考がかなり強かったらしいです。
私が3歳か4歳の頃。母と一緒に買い物に行ったら、レジに並ばないおばさんがいたらしいんですよ。で、私はその人に向かって、「並ばなきゃダメでしょ」って言ってたらしい(笑)
――おお、それはすごい(笑)
須藤あと、学生時代の友達とか、家族にも、私が思う「これが正解」や「こうあってほしい」を、いつも押し付けてきたなぁと、今はそう思います。
ちなみに私の父は、私が思う「これが正解」を、しょっちゅう破ってくる人なんですよ。それをされると、私はまるで自分が雑に扱われてるような気がして、すごいむかついていました。
でも、それも結局は、私が勝手にルールを決めて、勝手に怒っていたんですよね。
それで、じゃあなんでそんなに正解にこだわってきたの?って考えると…。
やっぱり究極的には、自分を認めて欲しいからだと思うんです。
正しいことをやって、場の空気を読んで、それで、あなたは頑張ってるね、って評価してほしい。認めてほしい。そういうことを、ずっとやっていたんだな、と。
――なるほど。そういう思考で自分が動いていた、と気づいたことで、須藤さんの中に何か変化はありましたか?
須藤はい。なんてめんどくさいことやってきたんだろう、もういいや、って思いました。
――ほほぉ。
須藤だって、自分を肯定するのに、わざわざ人を介して、相手を経由して、認めてもらってるんですよ。なにこのまどろっこしいやり方、って思ったら、ああ、人に期待するのはもういいや、って思えた。
で、そうしたら、自分や人にちゃんと興味を持って向き合えるようになった。そんな気がしています。
今年の4月からのVRPに参加したときは、SNSでみなさんの投稿にコメントをつけるのが、全然、苦じゃなかったんです。以前は、相手にこんなふうに受け取って欲しいという期待があったから、思ったような反応がこないと苦痛で、だからあまり書きたくなかったんですが、今回は、全然期待していない感じで、ホントに楽にやれました。
――へぇ~。
須藤あと、最近、自分の声の波形も変わってきたんです。
以前は、ストレス時の思考パターンの波形をとると、ブルーとかネイビーなどの、頭の思考に関わる色ばかり強く出ていたんです。でも最近は、レッドやオレンジなど、感覚や体感に関する色が出るようになった。
――おおっ、自分とつながってきた感じですね。
須藤はい、そんな気がします。
先日、ちょっと面白いワークを体験したんです。未来の自分、それこそ死ぬ直前の90歳ぐらいの自分を目の前にイメージして、その自分からの応援メッセージを受け取る、そんなワークです。
やってみたら、初めて自分自身からの愛を感じることができて、めちゃめちゃ泣けたんです。自分が自分を認められなくて、誰が認めるんだ?って思ったら。
これも、他者への期待を止める一つのきっかけになったように思います。
そんなこともあって、やっと今、自分のことを知るのは楽しいって、心から思えるようになった気がするんです。正解探しとかじゃなくて、本心の自分とつながりたい、って。
――なるほどー。素晴らしいですね。
では最後に、須藤さんはこれから、音声心理士としてどんな活動をやっていきたいですか。
須藤私、声診断のセッションは、まだそんなにやっていないんですけど、自分を知る方法として、すごく面白いツールだと思っています。
だから、これを使って、自分を知っていくことは楽しいよ、そして、もっと楽に生きていいんだよ、って伝えていきたいです。
去年、子供たちに声診断の魅力を伝えるスピーチをさせてもらう機会があったんです。もう、ほんっとに楽しくて。私、子供がめっちゃ好きだから、この子達が少しでも、生きることの楽しさとかを感じてもらえたらって思って、やらせてもらいました。
ああいうのも、また機会があったら、ぜひやってみたいです。
――ありがとうございました。




