今月の音声心理士#1:西山 雅子さん
聞き手・本文/北村昌陽(フリーランスライター)
2026.04.01
――音声心理士を目指したきっかけを、教えてください。
西山 雅子さん(以下、西山)私はもともと、人前で話すのが本当に苦手だったんです。特に、自分の意見とか、考えをまとめて話すことができなくて。そこにすごいコンプレックスがありました。
それで、話し方を教えている先生の元で、いろいろ勉強をしていました。
2020年ころ、その先生と、当協会の中島由美子先生がコラボ講座をされたんですね。その時、由美子先生に声診断をしていただいたのが、最初の接点です。
当時の私は、自分に自信が持てなくて……。何か肩書があれば自信につながるんじゃないかと思って、カウンセリング、メイク系、カラー系など、いろんな資格をとっていました。それで名刺に肩書を並べていたんですけど、自信がないのは相変わらずで。
2021年ころ、由美子先生に「声診断を勉強してみたい」って相談したら、じゃあ私の講座にいらっしゃい、と。行ってみたら、音声心理士の講座でした。それで、訳もわからず参加していたら、資格が取れてしまった。正直、そんな感じなんです(笑)。
だから、高い志で音声心理士を目指していらっしゃる方々には申し訳ないですが、私はスタートの時点では、声診断の面白さや奥深さを、全然わかっていなかったと思います。
――資格をとってからは、どんなふうに活動されていたんですか。
西山最初は、前についていた先生のコミュニティーで、練習のセッションをさせていただきました。100人ぐらいやって、まあ一通りできるような気になってきたころだったと思いますが、由美子先生が、VRP(Voice Revolution Program)という新しい講座を始めたんです。2022年の4月です。
VRPは、受講された方が、声の波形を通じて、自分の内面と向き合う講座。私は、スタッフとしてこの講座に参加することになりました。受講者の声診断を担当して、確か7人ほどセッションさせていただいたのですが……そのうちお二人から、チェンジされました。
――チェンジ?
西山はい。別のセッション担当者に変えて欲しい、と言われた。私のセッションでは、納得していただけなかったのだと思います。
――どんな気分でした?
西山もう、めちゃくちゃバッテンつけられた感じですよ。毎日、泣きながらやっていました。
VRPでは、SNSの中でグループを作って、気づきのシェアとか、いろんなやり取りをします。私はスタッフとして、皆さんの書き込みにコメントをつけなきゃいけない立場だったんですが、もともとコミュニケーションが苦手で、何を書いたらいいかわからなくて。書いては消し、書いては消し……。結局、1週間何も書けず、事務局の方にがっつり怒られたり、と。
――あらら。
西山そんなこんなで、声診断を甘く見ていた化けの皮がだんだんとはがされ、2023年の夏ころには、私はすっかり自己嫌悪の塊になっていました。自分のできなさ加減というか、底の浅さに、ようやく気がついたんです。
沖縄の太陽が、教えてくれたこと
リトリートで訪れた沖縄にて
私はずっと、何か人の役に立ちたいって思っていたんです。いろんな肩書を並べていたのも、お役に立ちたいから、と、自分ではそういうつもりだった。
だけどそれは、自分の存在価値のためにやってたことだと、気づいてしまったんですね。人から認めてもらうために、「役に立つ」を利用してたんだ、と。
――なるほど。自分の承認欲求で動いていたと、気づいたんですね。
西山ええ。あの頃は、本当に辛かったです。自分がダメダメな人間にしか思えなくて。どうしたらいいか、全然わからなかった。
――どうやって、そこを越えられたんですか?
西山転機は、VRPのサードプログラムでした。2023年の11月に、リトリートのプログラムで、沖縄に行かせてもらったんです。
まず出発の朝。目が覚めたとき、心の中にフッと、これまでよく頑張ってきたね、っていう言葉が降りてきました。
それで、そうなの? 私頑張ってきたの? とか思いながら、沖縄に行った。
ホテルの部屋が、すごくいい眺めの場所だったんですね。一番端の、部屋から朝日が見えるところ。それで、翌朝の日の出時刻を教えてもらって、それに合わせて起きたんですけど、全然、太陽が出てこない。真っ暗なままで。
あれーどうしたんだろう? って思っていたら、しばらく経ったら少しずつ明るくなってきて。それで、雲がすごく厚かったから、日の出になってもしばらく明るくならなかったってことが、ようやくわかった。
その時、あっ!って、気がついたんです。
太陽は、いつもそこにあるんだ。雲が覆ってるから見えないだけで、いつもそこにあるんだ。
それは、私たち人間も一緒なんです。
みんな、自分の中に太陽がある。いろんなしがらみとか、想いとかが覆ってるから見えないだけで、私の中にも太陽はあるんだ、って、急に、そんなふうに思えたんです。
だから、雲を取っていけばいいだけなんですよ。今までは、頑張って認められなきゃ輝けない、って思ってたから、すごい頑張ってきたけど、そんなことしなくてもいい。ただ、雲をとっていけばいいんだ、太陽は、私の中で輝いているんだ、って。そこが、自分の中で、バーンって切り替わったんです。
――うわー、すごい気づきですね。
西山はい。この話をすると、今でも涙がボロボロ出ちゃうんですよ。
つい自分を後回しにしてしまう人に
そして、この体験をきっかけに、セッションの捉え方というか、セッションにのぞむ自分のあり方も、大きく変わりました。
私の中に太陽があるって思えたのと一緒で、みんなの中にも太陽があるってことが、すごくわかるようになったんです。
その雲を取ればいいだけなんです。太陽は輝いているんだから。
それまではやっぱり、音声心理士としてちゃんと答えなきゃとか、どういう言葉を選べばいいかとか、セッションをテクニック的に捉える感覚が強かったです。私の力で変えてやろう、みたいにコントロールする感じが強かった。
そのあたりが、本当に変わったと思います。
――それは、すごい変化ですね。
西山私、自分はホントに、ものすごく変わった、って思っています。10年ぐらい前の自分の写真を見ると、まるで別人ですよ(笑)。
10年ほど前、いろいろな資格に手を出していたころの私。
で、自分が変われたことに確信を持っているから、人に対しても、絶対に変われますって、確信をもってお話できるんです。
ただ、それをどうやってお伝えしようか、というところは、まだまだ未熟だと思っていて。自分が雷に打たれたようなあの感覚を、どうやったら伝えられるんだろう、っていつも思いながら、セッションに臨んでいます。
――ご自身のセッションを、どんな人に受けて欲しいと思っていますか?
西山ケアラー体質の人。自分のことより、人を優先させがちな人です。私自身がずっと、そういう傾向を抱えて、しんどい思いをしてきたから。
例えば職場でも、なぜかいつも愚痴の聞き役になってる、とか。みんなからはありがたがられてるかもしれないけど、本人は、いいように使われてる感じで、きっと苦しいと思うんです。でも、それでお役に立つのなら、って頑張っちゃう。
声診断は、自己理解にものすごく役立つツールです。自分の心の中に、こんな価値観があるんだ、認められたいから自分を後回しにして頑張ってたんだ、というようなことが、はっきり見えてくる。
そして、自分の今の状態を知るところから、自己受容=このままでいい、頑張らなくても大丈夫、というところにつながるのだと思います。
チアリーディングをやっている娘と。
自分をつい後回しにしてしまう人には、ご自分の中の太陽を輝かせていいんですよ、ってお伝えしたいと思います。
――ありがとうございました。




